人気ブログランキング | 話題のタグを見る

企業法務を中心にいろいろと


by in_progress
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

NY bar終了(その4)

もう少しだけNY barの記録を残しておきます。

Multistate Performance Test(MPT)対策
このテストでは、与えられた架空の事案と判例を題材に、例えば、アソシエート弁護士としてパートナーのためにメモを起案する、又は、紛争の相手方に対してレターを作成する、といった課題が課せられるもので、日本の司法研修所でやる起案に似ています。NY bar全体の10%の比重を占めます(ちなみに、その他は、エッセイが5問で40%、MBEが200問で40%、NYの択一が50問で10%)。

バーブリが、公表されている過去問をまとめたテキストを配布しており、対策としてはこの過去問を解くというのがほぼ唯一の方法だと思います。どの程度このテストの対策をやるかは人それぞれで、試験直前期に毎日解いていた方もいるようですし、10問以上解いたという受験体験記を読んだ記憶もありますが、私は、1回分しかやりませんでした。

私のイメージでは、このテストは、①与えられた判例からポイントになるルールを引き出し、②そのルールに関連する事実を事案から抽出して、③問題文で指示された形式でまとめる、という能力が試されれているのだと思っているのですが、①については、ロースクールである程度判例を読まされていますのでそれ程難しい作業ではなく、②、③については、結局英語力次第なので、何回か練習しただけでは向上は見込めないと考え、対策に時間をかけてもそれ程効果は見込めないだろうと思っていました。

実際、5回、10回と練習すればもしかしたら多少は上手くなるのかもしれませんが、やっていない私には良く分かりません。今年の本試験のMPTは比較的簡単だったこともあり、結果的にはそれほど問題はありませんでした。

NY Multiple Choice対策
NYプロパーの択一式のテスト(50問)で、一問あたりの比重で言うとMBEと同じく、一問0.2%となります。
バーブリの黄色い本に、科目ごとの練習問題が100問以上(正確に何問かは数えたことがないのでよくわかりません)と、科目がミックスされた問題が100問あります。私は、ミックスされている方の100問を、試験5日前くらいに2時間で解きました(本試験では50問で1時間が目安)。正解率は60%弱だったと思います。それ以外にはこのテストの対策はやっていません。
本試験後の感想としては、黄色い本の問題は全部潰しておいても良かったかなと思っています。NY科目は細かい知識が不足しがちなので、MPTと違い、やればやっただけ新しい知識として身につくのではないかと思います。実際全部解いたという方も結構いるようです。

試験直前期の感覚的な到達点(具体的な根拠があるわけではなく単なる個人的なイメージです)
MBEについては、1500問か2000問を超えたころから、大体の問題のパターンを経験し、全く新しいタイプの問題に遭遇する機会というのは相当減りました。試験直前期には、問題文の最初の4、5行くらいまで読むと問題のストーリーが何となく予想でき、後は問題を解くために必要なキーワードに注意しながら読む、というようなイメージで解ける問題が7、8割だったと思います。そういう問題は選択肢から反射的に正解(と思われる肢)を選ぶので、時間の節約になります。悩んでしまう問題は大体1割弱、残りはその中間、というイメージでしょうか。
前に書きましたが正解率は7割を超える程度でしたが、1割くらいはどこまで勉強しても正解できないだろうと思う問題(私の中では「ノイズ」扱い)があり、残りの2割弱は、英語力の問題で正確に事案を把握できていなかったり、必要な知識が足りない、という理由で間違っていたイメージでした。
エッセイについては、直前期に2回過去問を解いてみましたが、大体の論点は把握でき、論証もそれなりに書けましたが、細かいところで多少間違う、というイメージでした。試験直前の3日間の暗記を終えた試験の前夜は、重要な定義や論証は丸暗記している状況でした。暗記用のカードを全科目あわせて約250枚作りましたが、その6割、7割くらいは、自信を持って書ける程度の正確さで覚えていたと思います。

英語力について
この試験は正確には知りませんが受けた人のかなりの割合が合格する試験ですので、それ程難しい試験ではないはずですが、日本人にとって難しい試験になっている理由は、やはり英語力の問題があるように思いました。アウトラインを読むことによるインプットのスピードがまず全然違いますし、読んだ後の記憶の定着度合いが、また全然違うと思います。さらに、主にMBEで感じたことですが、法律用語は勉強することでネイティブと同じレベルに行くことは可能ですが、事例問題で使われる法律用語以外の微妙な表現のニュアンスが理解できない結果、事実の評価を間違う、ということが良くありました。
by in_progress | 2007-07-29 08:02 | NY Bar 受験勉強記