人気ブログランキング | 話題のタグを見る

企業法務を中心にいろいろと


by in_progress
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

特定投資家制度

イギリスにいるにもかかわらず、このところ仕事で金融商品取引法を聞かれる機会が何度かありました。その中で、いまさらながら気付いたこと。

金商法では、行為規制の柔構造化ということで、特定投資家制度というのが設けられました。プロの顧客とアマの顧客で、適用される行為規制に差を設け、かつ、プロとアマの区分を、①アマに移行できないプロ、②アマに移行できるプロ、③プロに移行できるアマ、④プロに移行できないアマの四種類に分けるというような制度です。

アマに移行できるプロに対しては、「移行が可能である」旨の通知が必要で、海外にいる顧客に対しても証券会社さんからこの通知が送られてきているのですが、英語のレターでは、この「特定投資家」という言葉は、professional investor等と訳されることが多いようです(金融庁の使っている訳なのかは知りません)。

これ、一見何の問題もない訳のようですが、レターを受け取る外国人からすると、??となる場合があるようです。特定投資家制度は、証券会社が金商法に基づいておこなうビジネスに広く適用されていますので、例えば、引受業務などのように、証券会社の顧客が必ずしもinvestorではなくて、むしろ取引上はその正反対の立場であったりする場合があります。

証券会社さんが日本で使っている書面を英語にしてそのまま海外に送っていたりすると、何でウチにinvestor宛てのレターを送ってくるんだ、という話になるおそれがあるわけです。

MiFIDでもちょうど同じような話があり、ロンドンの金融機関が似たような書面を準備して顧客に送っていますが、MiFIDで使われている概念は、investor ではなくて、client となっているので、この点での混乱はないようです。

日本で法律を作るときに、いちいち英語でどう訳されるかなんて考えていられないかもしれませんが、こういうところでも、言語の壁というのを感じますね(追記というか訂正:これ、英語への翻訳の問題ではなくて、日本語でも同じ分かりにくさがありますね。ただ、海外にいる人だと、背景が見えない分、余計分かりにくいということはあると思います。)
by in_progress | 2007-10-15 06:03 | FIEL