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企業法務を中心にいろいろと


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市場の競争力とは

コーポレートをやると宣言して最初のエントリーが、いきなりレギュレーション関係ですが・・。いわゆるプリンシプル・ベース・レギュレーションについて。

Tokyo eyes move towards UK-style financial regulation(FT)

日本のFSAが、ファイナンシャルセンターとしての競争力を高めるために、ルール・ベースからプリンシプルベースに移行すると言っている、という記事。

US under rising pressure to drop rules-based regulation(FT)

さらに、USでも、ルール・ベースからプリンシプル・ベースへの移行に対するプレッシャーが強まっているという記事。知りませんでしたが、Commodity Futures Trading Commissionは1975年の設立当初からプリンシプル・ベースだそうで、CME Group(先物取引所)のDonohue氏は、CFTCのプリンシプル・ベースの規制のあり方が、米国の市場規制のあり方のモデルとなるべきだという主張のようです。

どちらもFTの記事なので、やや、UK FSAのプリンシプル・ベース・レギュレーションよりの見方になっているような気がしますが、ルール→プリンシプルという流れは、時代の趨勢といえるのかもしれません。

最近、個人的によく分からなくなってきているのは、「市場の競争力」という言葉の意味です。私の中では、より多くの企業が当該市場で資金調達を行うこと、外国企業の上場数が増えること、というのが、直感的なイメージで、アメリカのマーケットの競争力が議論される場合も、通常は、米国市場でのIPOの数の減少などが問題にされているように思います。上記の記事にあるように、「東京マーケットの競争力を向上させるためにプリンシプル・ベースに移行する」という場合、外国の金融機関にとってビジネスが行いやすい規制を作るべし、という、いわゆる業規制とか行為規制のあたりが念頭にあるように思われ、ちょっと、私のイメージにあった市場の競争力の議論とは少し違うような気がしてきました。この種のプリンシプル・ベースorルール・ベースの議論は、基本的に金融機関に対する規制の話ですが、外国企業による上場を増やす、という場合には、むしろ、発行開示規制の使い勝手の良さとか、会計制度の話とか、開示の言語の問題とか、虚偽の開示に対する責任の問題(10b-5のような強烈な責任を認めることが良いのか)とか、証券規制によるコーポレートガバナンスの担保(SOXの話)の是非・その程度、といったことが問題にされることが多いような気がします。
by in_progress | 2007-11-08 10:16 | Securities